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秘匿の闇市〜Midnight〜
第5章 禁じられた二人
「小松原さんに隠しても、仕方ないです」
「ハァッ……さつ、き……ンッ……」
「あたしがあさひを受け入れられないのは、どうせ同族嫌悪ですから」
「はぁっ、……アッ…──アッ!……」
佳子のかつての配偶者は、加虐趣味の持ち主だった。
政略結婚で引き合わされた相手とは言え、件の男は、配偶者に一途だった。趣味を共有出来る女をよそに作らず、自身の性的嗜好を二十歳下の女に余すことなく受け入れさせた。
彩月に残った憎しみの轍と、佳子に残った愛情のそれ。
歳月が経てば、どちらもただの傷跡だ。そのただの傷跡は、生涯、佳子を桎梏するだろう。
彩月以外の人間相手に、身体を触れられることを極端に恐れる。
シャツのボタンを全て外すと、類稀な上半身が現れ出た。微かに上下する胸を撫でて、背中に手を滑り込ませて、彩月は下着のホックを外す。
「私に似て……ンッ、いやらしい子──…親戚同士よ、私達……ァンッ……」
「そんな証拠、どこにあるんです?小松原さんはあんな仕打ちに遭って、あたしに関しては、前に報告した通りです」
「ぁっ……あっああっ……あ"ぁ"ぁぁーっ……っ」
産みの母親が二度目の配偶者と暮らしている家に彩月が訪ねた時、彼女は不在で、代わりに祖母と呼べるはずの女が出てきた。
佳子の姉は、ただ母親が違うだけで彼女とは似ても似つかなかったし、彩月が名乗った途端、血相を変えた。内心ではおそらく慌てふためきながら、あくまでその生まれに相応しい物腰を維持したがったのだろう、こよなく上品ななりふりで、彩月に命を絶つよう命じた。従えば父親に金は出す、とまで言い添えて。