この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
秘匿の闇市〜Midnight〜
第5章 禁じられた二人



 目のやり場を困らせる佳子にジャケットを被せて、彩月は彼女の傍らに膝をついたまま、その手の甲に唇を寄せた。


「……彩月は、きっと私より優れた血統なの。あの女の娘のくせに私の側にいてくれるなんて、物好きだわ」


 彩月の本心など明らかなのに、佳子はこうして顔を伏せる。


「昔のことは、終わりました」

「…………」

「小松原さんは、誰にも見下されない。虐げることなんて出来ない。貴女は強くて、絶対的な存在の人です」

「私には何もない。幸せになる権利も、望まれて生きたこともない。こんな価値の薄い人間に、貴女も美影達も、随分と騙されてくれているわね」

「もし騙されているとしたら、皆、それを望んでいるんです。小松原さんがここにいる。他に必要な事実がありますか」



 佳子の自己評価の低さは、彼女のうわべしか知らない人間からすれば、きっと嫌味ととれるだろう。

 彩月は彼女のあらゆる謙遜を否定して、彼女の欠落した部分を埋める。


 気休めだ。

 彩月が女達と身体を重ねなければいられないのと同様、佳子は他者を傅かさなければいけない。家政婦達の誠意を受けて、時に性的な業務をさせることで、彼女は自身の権威を確認して、自由を噛み締めている。


 甚だ不健全だった高給業務の実態を知っても、彩月が退職を決めなかったのは、ここにいる限りセックスの相手に不足しないからだ。

 快楽と、佳子の愛を貪っている限りは、生きていられる。必要とされる実感。たとえ動機が欲望でも、そこに憎しみはない。






第5章 禁じられた二人──完──
/372ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ