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秘匿の闇市〜Midnight〜
第6章 欠陥していく彼女

* * * * * * *

 どれだけ家政婦達が慕っても、多くの友人らと遊び呆けても、佳子が自分は恵まれていると自覚した試しはなかった。

 暮らしは裕福だった。
 
 特に高校を出る以前は、佳子自身も将来に関するあらゆる可能性を思い描いており、生きていく上での不可能はないと信じて疑っていなかった。
 母と共に与えられていた一軒家は、交通の便と日当たりの悪さを除けば伸び伸びと暮らせたし、不自由を感じたことはなかった。そこそこ名の知れた女子校で、最低限の成績さえ維持していれば、進学も保証されていた。仮に落第していたとしても、当時の父親は佳子の母にまだ飽きていなかったから、学校に寄付でもしてくれていただろう。
 
 ただし、佳子が窮屈しなかったのは、物理的な方面だけだ。
 小松原の苗字を持つ男は、愛人と娘を、人目を憚るようにして囲っていた。佳子も、それは物心ついた頃から察していた。習い事やコンクールの他、華やかな場所に顔を出すことを徹底して禁じられていたのが、分かりやすい例だった。

 友人の多かった佳子は、それでも退屈しなかった。

 本家の人間と違って、自由があった。自由があった分、将来の選択肢がなるべく増えるよう、勉強に手は抜かなかった。

 だが、そんな佳子が大学への進学準備をしていたところで、父親が見合いの話を持ってきたのだ。


 佳子に引き合わされた男は、感じの良い紳士だった。

 人間として、その男は申し分なかった。しかし十八歳の処女であった佳子にとって、離婚経験のある四十歳近い彼は、恋だの結婚だのになると、実感が湧かなかった。


 佳子が辞退しなかったのは、父親に背けば、どのみち進学しても資金が出ない。奨学金が免除さらるほどの学力もなかった佳子は従う他になかったし、返答次第では、母親の待遇にも影響が出る恐れがあった。
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