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秘匿の闇市〜Midnight〜
第2章 肉欲の競り市場
「全く子供らしいキスじゃ。男慣れしていない、下手なくらいじゃ」
「…………」
「気に入った。テクニックだけは一人前の女も、媚びるのだけは巧い女も、飽きていたのでな。毎月、五十万の契約でどうかね。更新は二年、わしが飽きなければ半永久じゃぞ」
つまり、最低でも出品者の懐に入る総額は──。
買い物目当ての客達は、おそらく瞬時に計算した。そこに上乗せしてまで落札しようという客の挙手はなかったが、今度は冬華を所持していた男が異論を唱えた。
「有り難いお話ですが、保留にさせていただけませんか。そいつは、我が社に二千万の負債があります。借金を作った親が蒸発したので、そいつを担保にしていまして……」
「そういうことでしたか、それは失礼。では、ニ千万で落札しましょう」
男曰く、予算を超えても割り切れるまでに、冬華の境遇は劣情をそそる価値を上げたのだという。
身寄りのない貧しい美人の、穴という穴を支配する──…興奮した目で呟きながら、冬華を連れて、出品者のいる客席に戻った。
八番、九番、十番は、治験のモルモットとしてやら労働者としてやらで、冬華達より遥かに低額で落札された。それから、女性向けのデリバリーヘルスの経営者や再婚相手を希望している八十五歳の婦人などは、女のように綺麗な男を落札した。