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秘匿の闇市〜Midnight〜
第6章 欠陥していく彼女

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 やがて健全な余興や勝負事に満足した客達は、懇意にしている家政婦達を呼びつけた。各々、猥褻な給餌をさせたり、木々の陰に連れ込んだりし出す中、佳子があさひと彩月を呼んだ。

 佳子の側に、御室と林を始めとする馴染みの面々、それから見慣れない顔触れの若い女達と男がいた。


「彩月。こちら、仏野姫猫(ふつのきてぃ)さんとお兄様の遊(ゆう)さん、パートナーの早良まづる(さわらまづる)さん。あさひのことを話したら興味を持たれて……」


 初めて見る女達を一人一人、佳子が指し示していった。

 すると、姫猫というひときわ貫禄を感じる女が、一歩前に進み出た。


「初めまして。林さんは、数ある私の会社の一つの取引先の社長の娘さんなの。彼女には仲良くしてもらっていて、無理を言って連れて来てもらったの。恥ずかしながら、小松原さんのような方がいらっしゃることは、最近知ったところよ」


 歳のほどは、見たところ二十代半ばだ。単に彩月や林に比べて姫猫が歳上に見えるだけで、彼女が単身ここにいれば、もっと幼く見えていたかも知れない。
 どこかあどけなさの残る顔立ちで、可憐を絵に描いたような女だ。それでいて姫猫の類稀な品格は、そこらの婦人達とは比にならない。すらりとした肉体は、乳房も尻も見事に盛り上がっていながら、肩や腰は折れそうに細い。ともすれば特別な教育でも受けたのではないかと思う。しかし姫猫は経営者だ。おそらくは教養も私財も有り余るほど備えた彼女に、育江のような保護者がいたとは考え難い。
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