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秘匿の闇市〜Midnight〜
第6章 欠陥していく彼女


「気持ち良くて……はしたなくて、ごめんなさい……」

「本当に、いやらしいよ。犯したくなる」

「欲しいです……彩月さんの指、私のここに、咥えたいです……」



 キスに夢中の二人を除いて、遊と、そして佳子らの顔馴染みの面々は、あさひの女の象徴を確認しようと試みている。そうした彼らの様子など、あさひには薄紅色の景色の差し色でしかない。

 いくつもの目より、彩月の目。彼女の目に自分だけが触れているのだと思うだけで、悦びと羞恥とが一度に迫る。


「ここ、じゃ……分からないな」

「──……っ」

「ちゃんと、いやらしくねだってごらん?」

「おま、おま──…」


 たった四文字も声にならない。

 唇に彩月の指先が触れているのを感じて、あさひは今にも気を遣りそうだ。

 また媚薬でも盛られたのか。しかし朝食のスコーンは、彼女の口移しもあった。それなら二人揃ってこんな風になっているはずで、おかしいのは、あさひだけだ。


「ぁっ、はぁ……」



 あさひが唇を開きかけた時、にわかに辺りがざわついた。

 やけに大きな自家用車が、庭に滑り込んできた。
 よく磨かれた白い車体は、真昼の陽光を鋭く反射させながら、佳子達の真後ろに停まる。
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