この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
秘匿の闇市〜Midnight〜
第6章 欠陥していく彼女





 後部座席を降りてきたのは、小松原の当主を名乗る男だ。

 しどけなく脚や肩を出していた女達は一斉に衣服を整えて、間に合わなかった数人は、いそいそと木陰に身を潜めた。

 あさひは、間髪入れずエプロンスカートが胸から下を覆った。彩月が椅子を離れなければ、具合の悪いことにはなるまい。


 僅かに顔を強ばらせて、佳子は一度深呼吸すると、小松原氏に向き直った。


「アポもなしに、我が家へようこそ。お父さん」

「お前のような娘を持った覚えはないのだが」

「どういったご用件でしょうか」


 あさひがこれまで耳にしてきた話を要約すれば、あの紳士こそ佳子の父親だ。

 思い描く父娘像とは、かけ離れている。

 佳子には姉もいて、その姉も最近、マスコミの質問に一人っ子だと答えたと聞く。さっきまで羽を伸ばしていた客達も、彼女らに奉仕していた家政婦達も、おりふし黒目だけ父娘の方へ向けて、蛇に睨まれた蛙のように縮こまっている。


 肩をすぼめる女達を見回すと、小松原氏の表情が険しさを増した。


「出来損ないの未亡人が」

「何ですって」

「恥とは思わないのか」

「相続したものはしっかり管理していますし、私が顔を出さないのは、貴方がたが望んだからでしょう」

「ああ、そうだ。お前が小松原を名乗っているだけで空恐ろしいのに、わしらの邸宅の敷居など跨いでみろ、出るところに出るぞ」

「ご安心下さい。私は余生を静かに送っているだけです。今更、貴方をお父さんだなんてお呼びするつもりもありません。そういうお話でしたら、お引き取り下さい」

「まだ話は終わっていない」


 いくら佳子がしらばくれて、女達が無邪気を装っても、顔や手に数多の皺を刻んだ男は、たるんだ瞼の奥の濁った目に、全て見通していると言わんばかりだ。
/372ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ