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秘匿の闇市〜Midnight〜
第6章 欠陥していく彼女

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 目も眩むようだった桜景色も褪せた頃、あさひは、あの花見の席で顔を合わせた仏野姫猫の屋敷に呼ばれた。

 原則、佳子の家政婦達は、敷地外での業務は行わない。特にあさひは、何かあっても自己責任では済まない。佳子も難色を示したと聞くが、仏野は小松原以上の財閥だという。姫猫が多額の補償金を押しつけたのもあって、関係の悪化を恐れた佳子が折れたらしい。


 ハンドルを握る美影の斜め後方で、あさひは見慣れない景色に目を遣っていた。館を出て四十分、あの美しい女達に淫らなことをされるのかと想像しては、時折、運転手に気付かれないようスカートの中で内股同士をすり合わせた。


「その首輪、鋏で切られそうになったら、小松原さんのお気に入りだとか言って、絶対にやめてもらいなよ」

「分かりました。ところで、さっき内側に貼りつけられていたものは?」

「盗聴器。あさひちゃん、知らない?仏野さんのとこ、よく行方不明者が出るんだ。あまり大きなニュースにはならないけど、安全な屋敷じゃないと思うから」

「そうなんですか」

「何かあったらすぐに警察連れて行く」

「有り難う、ございます……?」
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