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秘匿の闇市〜Midnight〜
第2章 肉欲の競り市場
二十一番がステージ中央に足を止めると、さっそく客席から手が挙がった。
「お客様、どうぞ」
「顔色の良い娘ね。二十一番……貴女、小さい子はお好き?」
マイクを向けられた女が、睦まやかな距離で男に付き添われて口を開いた。
「はい、それなりに」
「良いわね、私達の娘になってもらいたいわ。ウチには五歳の娘がいるの。お姉ちゃんが欲しいと言っていて。それに……」
…──娘としてなら、私が何をしたところで、この人が嫉妬しないから。
女は良人に何かしらの許可を得ると、二十一番との相性を確かめたいと所望した。
すると二十一番のバッジの女が、出品者は自分自身だと言い添えた。進行係が確認をとると、間違いなかった。
「えっと、二十一番の出品者様は、二十一番の上原きよみさんご本人ですね」
「はい、興味本位で身売りしてみました。人生、退屈すぎて、死んだつもりで誰かに任せてみようかと」
ステージに上がった女が、彼女自身の派手なロングスカートを脱いだ。デザインこそ奇抜でも、品がある。高貴な女はやはりブランド物のバッグから、巨大な突起の装着されたベルトを出した。それを自身の腰に取りつけて、飄々と待機していた女に四つん這いになるよう命じた。
二十一番の女に限って、尻を夜空に突き出したところで、客席からは大した歓声が上がらない。それというのも、ラフなトレーナーにジーンズという、ブルーシートに物を並べている参加者達と変わらない格好をしていたからだ。
どっ、とどよめきが起きたのは、そのジーンズのファスナーが下されて、ショーツが、太ももが、露出していった時のことだ。