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秘匿の闇市〜Midnight〜
第6章 欠陥していく彼女
* * * * * * *
さっきの紅茶に香っていたのを思い出す、高尚な甘い芳香が、辺りに囚われていた。とりどりの花を咲かせた温室は、しかしそれらの醸すものを、ねっとりとした人間の匂いが凌駕していた。
温室には花壇の他に、寝台を模した大理石やオブジェが配置されていた。
姫猫は鳥籠型の柵の中のベンチに腰を下ろすと、まづるを手招きしてキスをねだった。
「はぁっ、んっ……」
女達の赤い唇が、くちゅくちゅと蠱惑的な音を鳴らす。愛を確かめ合うようなキスは、瞬く間に欲望的なそれに変わり、二人の手が互いの曲線を撫で始めた。
紀子と紹也も、遊にじゃれつき始めている。紀子は遊の顔を啄んで、紹也は彼のズボンのファスナーを下ろして跪くと、こなれた手つきで下着から肉棒を取り出して、口に含んだ。
「ぁっ……お前らっ、クッ……ァッ!!」
「あぁんっ、フンッ……んぅぅ……ンッ、ァンッ……」
意中の相手のキスや愛撫に、高貴な兄妹は、各々に身体をよじって声を上げる。
彼らの様子を、ずらりと並んだ三十人近い男達が、顔色も変えずに見守っている。
男達は全員、裸だ。下着一枚も身につけておらず、憤った肉棒から白い液体を垂らしているだけで、姫猫達の友人か使用人かは見分けがつかない。
「そいつらは、薄汚い町から拾ってきた底辺の中でも最下層の人間達なの。あさひと同じね、はしたお金をちらつかせたら、何も訊かずに付いてきたわ」