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秘匿の闇市〜Midnight〜
第6章 欠陥していく彼女
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肉欲と自尊心を存分に満たした一家があさひを解放したのは、日の暮れた頃だ。
遊自身、彼の精子があさひと結合したのだと、本気で考えていたのではあるまい。それまでの彼らの理論を引き合いに出せば、遊の演じた悲嘆は、上品で善良な世間への皮肉だ。あさひとて堕胎を詫びる演技をしながら、彼らの茶番に酔っていた。
だが、ある地点で、あさひの中でふっと何かの糸が切れた。
早い話が、腰を振って喘ぐ行為が、彼らの機嫌をとるためだけの作業になっていたのだ。あの兄妹を相手にすればするほど、感度に靄がかかっていった。
もっとも一度堕胎した女は、以後の妊娠が難しい。
佳子の館に戻っても、それから男の客を相手にしたのは二度で、一ヶ月も経てば、姫猫の屋敷でのことなど記憶の隅にも置かなくなった。
いつか体験した身体の不調があさひを突然襲ったのは、十一月の暮れのことだ。
いつものように、客用の寝室で女達とじゃれていた時、強い吐き気があさひを襲った。
脚と脚の間を濡らして、あさひに鞭を振り下ろしたり、シリコンの肉棒で貫いたりしていた女達。加虐にのぼせ上がっていた彼女達は、あさひが胃液を逆流させた途端、今しがたまで輪姦していた対象物に憐れみを向けた。