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秘匿の闇市〜Midnight〜
第6章 欠陥していく彼女

* * * * * * *

 育江の愛を得たかった。愛でなくて構わなかった。

 幼少期からの食事制限も、筋肉も発達しない子供には過酷な運動も、育江にとって聞き分けの良い孫でありたいがために耐え抜いた。
 立花陽音はあさひを捨てた。だがあさひの祖母は、厳しくても、孫の教育に注ぐ時間を惜しまなかった。

 育江こそ、あさひの生きている理由になった。その理由に縋るしかなかった。


「あさひ。今の貴女は、不幸せ。でも貴女の堕ろした子供は、少なくとも幸運だったわ」


 佳子が続ける。

 人間は、生まれた時点で破滅と切っても切れない宿命に落ちる。

 幼い子供が未来への希望を描けるのは、選択の自由がないからだ。幼い内は、しかるべき大人の支配下にある。支配下にあれば、人は自らの選択を後悔しないし、悩まない。あさひが育江を盲信していたのが、その例だ。
 そして狭い世界の中で、いつか飛び立てる先の外を夢見る。夢は夢の域を超えない。歳を重ねるほど、人は何かを失って、奪われていく。いつまでも甘い夢を見ていられる人間は、よほど幸運な籤を引いたか、悪事に手を染めてまで足掻いたひと握りの場合だけだ。

 そうした人間から生まれる人間も、また、喪失の連鎖に取り込まれる。
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