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秘匿の闇市〜Midnight〜
第7章 救済と矛盾
* * * * * * *
佳子主催の婦人会も年内最後の会合を終えて、年越しまで瞬く間だった。
ペットとして迎えた二度目の新年も、あさひは佳子の晴れ着に袖を通した。
主人に着付けされたあさひを、圭が別室に連れ込んだ。
「はい、完成」
緩く巻いてまとめ髪に結ったあさひの頭を、鞠状の花飾りが左右非対称に彩っていた。顔の角度を変える度に、パールやラメが化粧の上で炫耀する。圭がいつも好んでいる感じの春色メイクは、同世代の少女らの中でも大人びたあさひのあどけなさを引き出していた。鮮やかな赤の衣装に、差し色のピンクが映える。
「すごーいっ、圭さん、美容師さんでも目指されているんですか?」
「趣味だよ。佳子さんには個性的って言われるけど、和服だからって堅苦しく考えても楽しくないの。最近は、こんな髪でも普通だよ」
かくいう圭も、定番スタイルの長い巻き毛を耳より上で二つに結んで、大きなリボンを載せている。半衿にレースの付いた長襦袢を持ち込んだ彼女は、佳子の上質な衣装を、熟れた風に着こなしている。
あさひは扉がきちんと閉まっているのを確認して、以前からの疑問を口にした。
すると彼女は、それはあさひにこそ訊きたかったと言って笑った。