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秘匿の闇市〜Midnight〜
第7章 救済と矛盾
彩月の実家に滞在中、あさひは彼女と出かけたり、隆を交えて外食を楽しんだりした。
佳子と懇ろな女達が、たまに彼女と彩月の関係に、根も葉もない憶測を立てている。遠い親戚だの元からの知り合いだの、それらは辻褄が合うところもあれば、飛躍しているところもあった。
彩月があさひを伴わせたのは、休みをとらせるための建前だった。そんな彼女の願いであれば、佳子は渋々でも頷く。そのお陰もあって、あさひの心身は、もう本調子にまで回復していた。
「私って、親不孝者だったんでしょうか……」
志乃の見立てた洋服一式でめかし込んで、あさひは休日最後の外での夕餉を彩月と楽しんでいた。ふと頭に浮かんだのは、娘を自慢していた隆のことだ。
「友達いなくて、暗くて、成績悪くて、おばあちゃんっ子で……隠し事だって、お父さんにはたくさんしてきましたし」
「今頃、気付いたの?隠し事はあたしも人のこと言えないとして、あさひは酷いしね」
「えっ、彩月さんもあったんですか?」
「ない子の気持ちを逆に知りたい」
「あー……そういう程度ですか……」
隆に仕事始めはない。しかし休職中の彼が伴わなかったのは、あさひ達に気を利かせたからだろう。