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秘匿の闇市〜Midnight〜
第7章 救済と矛盾

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 あさひに入り込んだ雑菌は、一ヶ月を経て消えた。 

 性病を患っている間、指名は減る。特に初めの疾患に次いで喉にもかぶれのようなものが見つかってからは、一日にニ、三人程度の客を相手にしながら、もっぱら家事に打ち込んでいた。

 それは休息期間にもなり得ていたのに、肉体は、寝ても覚めても欲情していた。


 あさひに肉欲が横溢したのは、佳子が、性器の神経を過敏にさせるための錠剤を服用させたからだ。
 それと言うのも治療中、例のごとく佳子が彩月に、あさひに必要以上に触れないよう命じた。そのためあさひはもどかしさを持て余し、ついに抜け殻状態になったのを、佳子が見かねたからである。



 医師から性交の許しが出て一週間、晴れ渡った春の午後、この時、あさひを指名したのは実業家の女だ。

 鈴山果穂と名乗る彼女は、佳子より五歳前後下と見えて、大柄で化粧の濃い、はっきりとした物言いが印象的な人物だ。

 鈴山は地下の部屋に入るなり、彼女が私邸から従えてきた家政婦達に、あさひを吊し上げるよう命じた。二人の若い女達の手つきは見事で、まるで仏野家のメイド達同様、みるみる内に、あさひのつま先を宙に浮かした。


「良いわねぇ、良いわ!とっても綺麗よ、あさひ。随分と使い込まれていると聞いていたから、どんなに穢らわしい肉壺かと思ったら、ちょっと浅ましいだけのうぶな肉便器じゃない!」


 開脚したあさひの性器は、鈴山の喉の辺りの位置で露出していた。短く切られてはいるものの、真っ赤な爪を載せた彼女の指が、あさひの潤みをくちゅくちゅといじる。
 腕や脚の拘束を受けるより前から、もっと言えば、下着を脱ぐ前から、性器は濡れきっていた。常に身体を疼かせているあさひには、客が鈴山という女であれ、全く別の人間であれ、とるに足りない問題だ。
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