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秘匿の闇市〜Midnight〜
第2章 肉欲の競り市場
あさひは、ステージ中央に進み出た。
客席から、あさひは息を飲む気配を感じた。それまでの商品達の時とは違って、猥褻な野次が上がらない。それどころか目を瞠っている男もいれば、ため息をこぼす女もいる。
歩く弾みに、空いた先端からはみ出た乳房にエプロンの胸当てがこすれて、短いスカートが風を取り込む。あさひ自身が声を漏らしそうなのに、客達が奇跡でも見た顔でおとなしくしているものだから、こらえるしかない。
こんな時でも最初から開放的にならないよう、あさひは育江に教育されていた。女のしるしを隠す役目をしない下着をつけていることを恥じて、それを見られていることを恥じて、スカートの中は決して覗かせまいとするように、尻を覆ったフリルを片手に押さえる。客達の視線に戸惑い、はにかみ、しかし照れたような微笑みを浮かべるところまで、あさひは見事に実践した。
ざっと十ほどの手が挙がった。
「五百万!」
「五百五十万!」
「七百だ!」
「なんて完璧な美しさ……それに小さい……胸や尻は、はち切れそうなのに……!私は一千万出すわ!」
「こんな上玉は、地下のアイドルを観に行っても、滅多にいない……五千万だ!」
「条件次第では……、六千万!」