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秘匿の闇市〜Midnight〜
第8章 愛され少女の教育法
* * * * * * *
第三者の情事を──…なかんずく特殊性癖を観賞したがる佳子のために、あさひの食事や排泄物をほぼ毎日世話していた彩月は檻が抜け殻になった今朝、以前はこれだけのんびり眠っていられたのかと、軽く衝撃を受けた。
佳子が朝一番に檻を訪ねるかは、その日次第だ。
今朝が観賞の気分でなければ、もう数時間は彼女が異変に気付くことはないだろうにしても、美影の不在は誤魔化しが利かない。
従って、彩月は一旦、美影に状況報告を求めた。
幸い、あさひに表面上の異常はなかった。ただし、顔色は最悪と言えるらしい。これから病院へ向かうこと、ホテルはチェックインしたままにしてあることを説明した彼女のLINEは、最後に警告まがいの提案が添えられていた。
それには適当なスタンプを返して、彩月は朝食の準備を進めた。
着信音が鳴り出したのは、そのすぐあとだ。
「はい」
『彩月?今どこ?』
「朝ご飯、作ってる。謝罪は食事中に聞いてもらう」
『あさひちゃんを先生に預けたら、診察中、一旦戻るよ。私が小松原さんに謝る。さっきの、ちゃんと読んだ?』
「読んだよ。却下。あさひはマゾ体質だから、医者にまでセクハラ受けないように見張ってて。昨夜も言った通り、美影はただの脱出要員。主犯にしたくて頼んだんじゃないから」
『彩月の話が本当なら、今、小松原さん相当不安定だよ。朝食なんかあとにして、彩月は早く逃げなって』