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秘匿の闇市〜Midnight〜
第8章 愛され少女の教育法
「ねぇ彩月?ペットやお金より、私が何を欲しがっていたか、覚えてる?」
権威だとか愛情だとか、それは彩月が聞き続けてきた佳子の夢だ。それらはとっくに手中にあるのに、おそらく一生、彼女が手触りを得ることはない。
しかし彩月が頷くと、佳子が何か含ませて、唇の端を上げた。一個人の女の顔をして。
「私のものになりなさい」
「え?」
「はっきり言うわ、あさひの代わりじゃない。不本意のお客様だって、これまで通り拒んでくれて構わない。ただ、……」
長いスカートを波のように揺らしながら、佳子が腰を上げた。音も立てずに距離を詰めてきたかと思うや、彼女の腕が彩月に伸びた。
佳子が、何のたゆたいもなく彩月のシャツのボタンを外していく。
「っ、ん」
赤茶の唇から覗いた舌が鎖骨を舐めた次の刹那、彩月は佳子が歯を立てたのかと思った。鎖骨を這う薄肉に、吸われるような痛みが襲う。佳子の唾液とルージュで密着した唇と肌が、何度目かの真空を生んだ弾みに、彩月は自分の片乳房を手のひらに覆った彼女の腕にしがみついた。
「はぁっ、……」
佳子の唇が離れても、烈しい吸引を受けた一点が脈打っていた。下着を撫でるようにして、肩が露出するまで下ろしたシャツの中をまさぐりながら、さっきよりやや上方に、佳子が二度目のキスをした。