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秘匿の闇市〜Midnight〜
第8章 愛され少女の教育法
「私だけを愛して。私のためだけに生きてくれるなら、あさひのこと忘れるわ」
「告白……ですか……?」
「純粋に受け取ってくれるのね。もし貴女を失えば、私は狂って、美影にどんな八つ当たりをするか、探し出したあの子に何をしてしまうか分からないのに」
見るからに吸引の跡と分かるものが散らばる肌を隠すようにして、彩月はシャツの前身頃を寄せた。
みっともないとぼやいても、どちらにしろ、ここの住人を除く人間に裸体は滅多に晒さない。女達が彩月に求めるのは、ただ格好良いだけの遊び相手だ。愛に飢えて媚びへつらってばかりいた挙げ句、セックス依存症に落ち至った素顔を見せれば、かつて彩月を圭達のように扱いたがった一定の女達が陽音の残滓を目の当たりにした時と同じようにして、彼女らは手のひらを返すだろう。態度が変わるだけならまだしも、彼女らの詮索が佳子に及ぶのを危惧して、彩月はあさひに対しても、ついに嘘で塗り固めていた。
「都合良く受け取っただけです。お金でご所望なら例外なくお断りしていましたが、あんなに商品価値のあったあさひをあたしで放免しようなんて」
佳子の顎を指に支えて、彩月はルージュなどとっくに崩れきった彼女の唇に吸いついた。
「小松原さんが正気の沙汰じゃなくて、助かりました」