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秘匿の闇市〜Midnight〜
第8章 愛され少女の教育法
頬をからかっていた佳子の指が、彩月の唇をこじ開けた。それに導かれるようにして、舌を預ける。肌を染めた熱と同じものが、味覚を冒した。僅かに顔を歪めた彩月に、佳子が優艶に目を細める。
貼りついた蝋が剥がれる時、また傷口が開くのだろう。
肉体的な痛苦には、ある時期を境に恐怖も覚えなくなっていた。ただシャワーを浴びるのが、億劫になる。みじめになるほどしみて、脱衣室でタオルを汚して、不可解な孤独に襲われる。
それでも佳子に従う以外に考えられない。
三日に一度はありきたりな恋人同士として過ごす。そして三日に一度は地下で楽しみたがる彼女の所有物として、彼女の望みに応えながら、ようやく手に入れた愛を握り締めている。
いっそあさひに続いて逃げてしまった方が、美影を苦しめずに済む。そうと分かっていても、佳子に捨てられたくはない。