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秘匿の闇市〜Midnight〜
第8章 愛され少女の教育法
自分の意思を明確にすることは、不得手だ。
しかしこうして可愛いものに触れていると、淫らなことをしていた時では味わえなかった高揚が、あさひを包む。それはときめきに似ている。そう言えば、あの館にいた頃も、どれだけ華やかで淫乱な女達を相手にするより彩月と話している方が、何より心は舞い上がっていた。
店先まで見送りに出てくれた店員から鮮やかなピンク色の紙袋を受け取った志乃に付いて、予定通り、あさひは彼女と旅行会社へ足を向けた。
途中、思い出したと言わんばかりの顔をして、彼女が口を開いた。
「そうだ。あさひちゃんに話しそびれてた」
「えっ、何ですか?」
「美影さんと、昨日LINEしてたんだけどね。彩月ちゃんから伝言、あさひちゃんに。好きになってくれて有り難う、ごめん、って」
「え……」
「直接言えば良いのにね。どれだけ忙しいのか」
美影の話が事実とすれば、あさひの好意は彩月に知れていたことになる。