この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
秘匿の闇市〜Midnight〜
第8章 愛され少女の教育法
あさひは、志乃との話を美影に伝えた。
結論から言えば、館に出戻るのは危険を伴う。それが美影の見解だったし、あさひも佳子が落札額のことを持ち出せば、対処の術は持ち合わせない。
ただ、美影にも思うところはあったらしい。あさひが熱心に頼んだ末、彼女自身もリスクを冒した逃走劇を水の泡にしたくないと言って、親身に、慎重すぎるほど慎重にことを進めてくれた。
あさひは志乃に、彩月達の職場を訪ねると言って家を出た。
志乃の中では未だ業務が立て込んでることになっている。彼女が訝しがる様子もなかった。
『小松原さんのお友達の林さんに、彩月を指名してもらってる。森の小屋。場所は覚えてる?』
「はい。私も、そこで指名を受けたことがありますから」
『でも中には入らないで。寒いけど、外で話して。中は監視カメラが付いてるから』
言われるまでもなく、覚えている。その小屋であさひは自分が女達や男達に何をされたかも、些細に思い出せる。
電話を切る間際、急に美影があさひに詫びた。ただ、彼女が何を謝罪したがっているか、あさひの頭では追いつかなかった。