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秘匿の闇市〜Midnight〜
第2章 肉欲の競り市場
進行係が他に落札希望者はいないかアナウンスしている間にも、男はあさひを雁字搦めにしたまま撫で回し、唇に舌をこじ入れてきた。
初めてのキスだ。
じゅぱぁ、ちゅぱちゅぱ…………じゅるっ……
「んっ、あむ……ふ!んっ、んんぅ……」
「あさひ!俺とお前は結婚も出来るんだよ!俺はお金持ちだけど、一人で稼いできたからね!そこらの金持ちと違って、面倒なことは少しもない……あさひがお嫁さんになったら、お腹に精子もいっぱいあげるね!でゅほほ」
育江は反対しなかった。取り引きさえ済ませれば、男があさひを入籍させようと孕ませようと、異論はない。自分自身の喘ぐ声、淫らな水音、そうしたものが満たす意識の向こう側で、祖母と進行係が最終確認をしているのが聞こえる。
「それでは、お客様。二十七番は手続きのあと、出品者様から引き渡されます。まず受付の方へ、お願い致しま──…」
「待って下さい」
悠然とした女の声が、割って入った。とても落ち着いた低い声だ。それでいて中性的なのとは違う、優雅で品があって、あさひの知る学校の人間に例えるなら、キャリアを積んだ知的美人な教師といったところか。
「直前にごめんなさい。その二十七番、私にお譲りいただけます?」
「おっ、俺が先に──」
「お客様、こちらのお客様もそのおつもりになっておいでですので」
「一億」
「…………」
「いいえ、一億五千万。出品者様のご意向を、お聞きしたいわ」