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秘匿の闇市〜Midnight〜
第2章 肉欲の競り市場
耳を疑うような金額だ。
単純な好奇心に弾かれて、あさひがマイクの先を見ると、驚くほど臈たけた女がそこにいた。
歳は育江と変わらないか、少し下に見える。どちらにしても彼女よりぱっとするのは、まとう雰囲気が違うのだろう。
女は、小松原佳子(こまつばらよしこ)と名乗った。数人の客の劣情の目が彼女にも向くようになったのは、アイボリーのジャケットを盛り上げる胸に締まった腰、タイトなスカートを見事に履きこなしている脚の曲線の為せた業だ。
女など買わなくても鏡を見ておけば良いのに、と、あさひは思った。
化粧で素顔までは分からないにしても、それくらい顔立ちも良い。
「交渉成立ですね。有り難うございます」
「お客様。ご記入いただいた書類ですが、引き落とし口座が抜けられています」
「現金ではいけませんか。家がこの近くなものですから、運転手に電話して、持って来させたいんです。立花さん、お待ち願えませんか」
「小松原様のご都合にお任せします」