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秘匿の闇市〜Midnight〜
第8章 愛され少女の教育法
翌週、日曜日。
オープンキャンパスのステージ発表にサークルの一員として出たあさひは、その足で冬華との待ち合わせの駅に向かった。
ビキニからスーツへ、そして今日はシンプルなスプリングコートにロングスカートという私服姿で現れた彼女は、屈託ない笑顔であさひに手を振った。
あさひは冬華と近くのレストランに入って、ランチを頼んだ。
彼女の行きつけだという店は、見渡すと、彼女と同じで上等な洋服や装身具で飾った女達ばかりが、歓談や食事を楽しんでいる。カップルや家族連れの客達も、見るからに生まれ育ちが良さそうだ。
些か肩身狭さを感じていると、上品なのは見た目だけだよと冬華が笑った。
「たまに贅沢が楽しめるだけの、私達は平凡な一般人だよ。私を落札した橋谷さんも、高級な非日常を買ったせいで、あのあと仕事三昧。予算が出た分、私に仕事を教える羽目にまでなって」
あさひは、可笑しげに話す冬華が落札された時のことを思い出す。
彼女は親の借金のために、闇金業者に担保として身柄を拘束されていた。そして、彼女を落札した男は、初め二年の愛人契約を持ちかけたのだったか。しかしそれでは負債額に達しなかった。男は渋々、予算の三割ほどを上乗せして、一括払いで彼女を買った。