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秘匿の闇市〜Midnight〜
第8章 愛され少女の教育法
デザートまで平らげて、あさひは冬華と場所を移した。
彼女が橋谷に与えられたマンションの部屋は、想像を絶する代物だった。佳子の館と言い、何となく日々を過ごしていれば目につかない物件が、これだけ存在していることにも驚く。
広々として綺麗な部屋は、買い手の男の影がない。
冬華が話すには、契約が切れたあとは橋谷が彼女に手を出すこともなく、最近は風俗街に繰り出したり、彼の家庭を重んじたりしているらしい。彼女は恋愛も解禁されている。
「あさひちゃん……」
同じ過去、同じ痛みを抱えた女二人が、閉ざされた空間で始めることは決まっている。
あさひはAngelic Prettyの春物のスカラップコートをハンガーに吊るすと、冬華の腰かける寝台に片膝をついた。
時計の秒針の進む音しか聞こえない。六月直前のしんとした午後、あさひの中に、三年半振りに一種の感覚が蘇りかけていた。
「汗……臭いかもです、私……」
「私は酒臭いから、お互い様。それか、イヤ?」
あさひは首を横に振る。冬華の首筋に吸いついて、華奢な体躯には不似合いすぎるたわわな実りをむぎゅりと掴んで、ロングスカートをまくり上げて撫で回す。