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秘匿の闇市〜Midnight〜
第8章 愛され少女の教育法
志乃に養われなくても、彩月に面倒を見させることになるなら、同じだ。
今すぐにでも頷きたい欲望を、あさひは抑える。
佳子は、端から彩月を手離すつもりでいた。あさひを所有するための権利書まで持たせて、窃視性愛という彼女の性的嗜好に則ったような命令を、最後に下した。あさひは彩月に逆らえなくなった。それでも、従うのと大切にされるのとは、別だ。
「メイドじゃ、いけませんか」
「家事スキルはあたしの方が上だけど」
「です、よね」
「そういうプレイが好きなら、付き合うよ」
「いえっ、あ、あ、好きですけど、でも──…」
不意にあさひの肩を回した彩月と、振り向いた途端、目が合った。
互いの呼吸だけが聞こえる。ともすれば心臓の音まで拾えそうに無音の部屋で、彼女の顔を間近にして、あさひは胸やら腰やらの奥を狂おしいほど疼かせる。
締まった目許、通った鼻筋、柔らかな薄肉を刷いた頰は清冽な眼差しの炫耀を受けて、その唇はいつも甘い声を奏でる。性別を感じさせない顔かたちは、今も底なしの優しさを滲ませている。