この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
秘匿の闇市〜Midnight〜
第8章 愛され少女の教育法


* * * * * * *

 何のための人生だったのかと思う。

 たった一人きりになった書斎で、佳子は冬空の光を受けた森を見下ろしていた。


 彩月が家政婦募集の広告を見つけてきたのは、偶然だった。彼女に母親の写真を見せられなければ、冗談として受け流していただろう。しかし共に過ごすほど、佳子は彼女に、小松原当主の愛娘の嫡子の面影を強く見出すようになった。

 実の姉さえ、佳子に見向きもしなかった。その孫娘は、父親の生まれが卑しかったというだけで、悲惨な境遇の中にいた。

 佳子にとって、彩月は同胞でも仇でもあった。姉の血を濃く継ぐ彼女を思いのままにしていれば、一方的に優越感を覚えていられた。それは初めの内だけで、佳子は彼女に恋をした。出逢いさえ違えば、孫ほどの年端の彼女に、情けないほど切実な恋慕を向けていただろう。


 本気の愛など期待しない。虐げられてきた佳子に必要だったのは、愛情より畏怖だった。だが彩月を解雇したのは、あさひの言葉を借りるとすれば、愛のための自己犠牲だ。

 だが、まだ虚しい。

 美影から、あさひが無事に告白を受けたという報告を聞かされても、佳子の孤独は底を失くしただけだった。



「小松原さん」


 突然のノックに続いて、美影の声が佳子を呼んだ。
/372ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ