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秘匿の闇市〜Midnight〜
第3章 飼育される侍女達


「……あさひ。彼女は、瀬尾彩月(せおさつき)。メインで入ってもらっている家政婦。彼女の休みの日は、学生の子達に来てもらってるから、追ってまた紹介するわ」

「初めまして、立花あさひです」

「宜しく」

「さぁ、あさひ。支度をしましょう。お腹も空いているでしょう?」

「…………」



 随分、玲瓏な声だった。人間の声など意識したことなかったが、胸の奥がじんとする、彩月の甘くて優しいメゾの響きが、あさひの耳に妙に残った。


 それにしても、もう、我慢出来ない。…………


 あさひの頭は、たぷたぷとした膀胱のことでいっぱいだ。


 尿道口にきゅっと力を込めた時、佳子の口からとんでもない言葉が飛び出た。


「彩月。私はそこで見ているから、ペットの世話、頼むわね。先にトイレだって」

「小松原さん、世話はしますけど、少しはお財布の紐を締めてはどうかと、いつも申し上げてるじゃないですか。何買ってるんですか……」

「良いじゃない。お金なんて貯め込んだって、墓場まで持って行けないわ。使える時に使っておかなくちゃ」


カチャ……


 キィィ……と、鉄格子を開けて、彩月が檻内に入った。
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