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秘匿の闇市〜Midnight〜
第1章 愛玩少女の製造法
「冬華!たかが着替えに、いつまでかかる!」
「っ……?!」
男が天幕を開けた。それと同時に、あさひの目の前から女が消えた。正確には、首根っこから引きずり上げられた女──…冬華と呼ばれた女の顔が、あさひの視界から消えたのだ。
「着替えてるじゃないか。手間取らせるんじゃねぇ!」
「ぐっ」
男の膝を腹に食らった冬華が呻いた。男は彼女の父親ほどの歳と見える。この冷え込む深夜にビキニ一着だけを身につけた冬華は、震えもせず、痛むはずの腹を庇おうともしない。
更衣室に立ち入った男を、誰一人として白い目で見ていないのも、あさひからすれば異様だ。まるで屠殺される間際の鶏の群れが、仲間を一羽、取り上げられただけのような反応ではないか。
「…………」
まもなくして、冬華は男に引きずられて出て行った。
「ひっ……」
抱えていたビニール袋の中身を確かめるなり、あさひは血相を変えた。
目前にいる女達と自分は、どこが違うのだろう。