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秘匿の闇市〜Midnight〜
第3章 飼育される侍女達

* * * * * * *

 あさひが佳子の館に置かれたのに際して、定められた規則は大きく二つ──…排泄物は決まったバケツに溜めること、佳子が見ているところでは、食事に手を使わないことだ。

 窓のない、おとぎ話に描かれるような豪華な部屋は、鉄格子に閉ざされる前、映画鑑賞のための設備があったらしい。

 そこにあさひが入ってからは、客達に高級なペットを観賞させて、淫らな妄想をかき立てるための一角になった。



「四年前に主人を亡くして、私に残ったのは、この館といくつかの土地、そして莫大な財産だけ。要するに、やっと自由になれたの。私は、余生を自分の快楽に費やすことに決めたのよ」


 余生という言葉を用いる佳子は、まだ青春の半分も過ごしていないように見えるほど、快活な女らしさが横溢している。
 この場合の女らしさとは、満ち満ちる精気だ。淫らごとを楽しむにしろ、そのための相手を誘惑するにしろ、佳子に不足はない。

 ただし、佳子の言う彼女の快楽とは、他者の行為を観賞することを指している。

 つまり佳子は、他人の、特に身近な人間の淫らごとを観賞して、法悦する体質らしい。稲川達があさひをおかずに濡れた時、彼女だけ自慰に没入したのは、そのためだったらしい。
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