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秘匿の闇市〜Midnight〜
第3章 飼育される侍女達
結局、あさひがリングを圭に返したのは、翌週だ。
あのあと車を出した美影が戻ってくると、医者と思しき人物が伴っていた。あの時は胸騒ぎがしたのに、もちろん佳子達に何かあったのではなく、圭も次の出勤日にはけろりとした顔をしていて、失くしても大したものじゃなかったのに……とからから笑って、ピンク色のハートを右手に戻した。
あさひが落札されて二週間、その間に顔を合わせた家政婦達は、彩月達と圭の他に三人いた。
学生アルバイト達に共通して言えるのは、はっとするほどの容姿と、家事の途中で必ずいなくなることだ。退勤時に挨拶出来ることもあれば、例のごとく美影が医者を迎えに行って、あさひの知らない内にいなくなっていることもある。
あさひはペットとしてのルーティンをこなしながら、日ごとに家事の仕事も覚えていった。
後者は、労働経験のないあさひにでもすぐに覚えられたし、大きなミスをしたところで、責任も問われなかった。佳子は彩月が呆れるほど金に執着がないらしく、あさひでも知る有名ブランドの食器を割った時でさえ、一億五千万円のペットが怪我をするよりマシだと言って笑っただけだ。