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秘匿の闇市〜Midnight〜
第3章 飼育される侍女達
「彩月は、いくら出せば私のものになるのかしらね」
からかうのは指だけにして欲しい、と、佳子の楽観を咎める余裕もなくなっていく。
美影の指にたわんで喘いで、何度も無我になったのに、もう劣情に眩暈がしている。満たされない。満たされるほど空っぽになるのは、今に始まったことではない。
「いくらもらっても、誰のものにもなりません」
佳子の指に唇で触れて、彼女の頬を、顎を、唇を啄む。
「金銭で身体を売るような女、あたしは軽蔑していますから」
佳子の目が覚めているのは、明らかだ。
彩月も眠る気がしない。
日々、貧しい女の救済をして、挙げ句、肉欲の生贄に出ていた女まで買って助けた彩月のあるじは、五十を過ぎているにしては、きっと肉欲旺盛だ。自身を慰めてこそ至上の悦びを得る佳子が彩月だけは触れられる、その根拠が肉欲ではないにしても、彩月には佳子が必要だ。
彼女のものにはなれなくても、失くせば、きっと正気でいられなくなる。
「脱いで下さい。小松原さんがご自分で気持ち良くしたいやらしい身体、もっと興奮させてあげます」
身を乗り出して、茶色い癖毛をよけて耳にささめくと、佳子がその通りにした。
第3章 飼育される侍女達──完──