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秘匿の闇市〜Midnight〜
第4章 淫蕩の婦人会
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大切に庇護されている愛玩動物同様に、あさひの生活環境は、極めて良かった。
開放的な客間が見渡せる鉄格子を除けば、豪奢な寝具は定期的に取り替えられて、シーツからはいつも太陽の匂いがする。首輪があさひの行動範囲を制限して、間近での鑑賞は困難にしても、猫脚の白い家具とバランスのとれた調度品の数々は、ここに来て二ヶ月経った未だに胸がときめく。
ありふれた少女らに比べて厳しく育てられたあさひも、あくまで少女だったのだ。
そんなことを思っては、育江と暮らしていた頃より自由が増えた気さえする。
窓も時計もない檻にいて、あさひが生活リズムを保てるのは、たまに出されているからだけではない。まず朝、決まった時間に彩月か他の家政婦達が、朝食を運んでくるからだ。
今朝、客間に見えたのは彩月だ。
あの長さの茶髪も彩月以外の家政婦らの中では見たことがないし、何より中性的な雰囲気や、それでいて女の美しい要素も隙なく備えた彼女の容姿は、乳房や尻の凹凸で言えばもっと優れた家政婦達がいるにしても、遠目にその姿を認めた時点で、あさひの胸が感じたこともない忙しなさに戸惑う。朝の支度に必要なものを積んだワゴンを引く彼女の今日の装いは、同系色のリボンタイが胸元を飾るボルドーのブラウスに、黒に近いネイビーのカーディガン、膝が隠れる長さの黒のハーフパンツという、どこか皇子らしい印象を受ける。