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秘匿の闇市〜Midnight〜
第4章 淫蕩の婦人会
そうした幸福な日常にいたあさひは、まもなく買い出しに出ることになった。
週明け、佳子が主催を務めている婦人会の会合がある。会合と言っても、彼女のように時間も金も有り余った女達が集まって、昼間からどんちゃん騒ぎするものだ。
今日はアルバイトの家政婦達も多めに呼ばれて、館ではそのための準備が始まっていた。
「こういう時、共用で使ってるスマホ。地図や買い物リストを見て分からないことは、電話かメールで訊いて」
あさひが彩月に持たされたのは、スマートフォンだ。実際に触るのは初めてだった手のひらサイズの機器は、最低限の操作くらいなら出来そうだ。
長袖に太いリボンの編み上げが入ったピンク色のタートルネックに、二段フリルのハート柄スカート、まるいシルエットの白いコート──…久し振りに敷地の外に出るあさひが着せられたのも、懐かしい、肌が隠れる洋服だった。代わりにブラジャーは外している。昔、小学校にいた頃の運動会で、下着をつけていない高学年の女児が他の保護者に注意を受けていたのを思い出し、あさひが問うと、佳子からここまで厚着をしていれば問題ないという返答が寄越されてきた。
地下鉄で繁華街まで移動したところで、同伴の彩月と分かれて、あさひはメモに従って買い物を始める。彼女は他に言いつけられている仕事があって、そこまでは面倒を見られないということだ。
「ァッ……」
信号で足を急がせた時、脚と脚の間に刺戟が走った。胸が鈍い痛みに気付く。