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虐げられた新妻~秘密の書斎~
第2章 婚約
「お父さんは私たちの結婚には反対なのかしら?」
有人が帰ったあと、
それとなく母に尋ねてみました。
「ううん、そんなことはないわよ~
ただね、有人さんには
怖い父親というイメージを
抱かせたかったんですって」
そういって「男親ってバカよね」と
母はクスクス笑った。
会社の上司にも結婚をすることを報告した。
「おお、そうかい。
じゃあ、結婚後はなんて呼べばいいのかな?」
やっぱり新しい姓で呼ばなきゃいけないんだろうねと気を使ってくれましたが、
夫婦別姓がなにかと騒がしている世間ではありますが、美代子は戸籍上は有人の姓にするつもりだが
社内では今まで通り旧姓で通してもらうことにした。
お客さまの中には美代子を気に入ってくれて
名前まで覚えていただいているので
今まで通りの方がなにかと便利だったからだ。
何よりも大変だったのは
結婚式の打ち合わせだった。
ドレスをいろいろと試着したものの
「ねえ、どれがいいかしら?」と
有人に尋ねても
「あ~、それでいいんじゃない?」って
どのドレスを着ても
同じ返事しかかえってこなかった。
「結婚式なんてどうでもいいのね」
帰りの車中で、
美代子は頬を膨らませて有人をなじった。