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虐げられた新妻~秘密の書斎~
第11章 愛の精算
「でも今日、あなたは主人の命令に逆らった…
これからどうするつもりなの?」
「二人の関係が公表されるのは間違いない
だけど、罪を負うのは僕一人で充分だ!
君は全てを忘れて彼の元に帰りなさい」
思いもよらない洋介からの別れの言葉だった。
美代子はイヤイヤとかぶりを振りながら
「私を連れて逃げてよ!
私、あなたとならどんな苦労もかまわない」
バカなことを言うなと嗜めた。
「僕は職を失う。
おまけに莫大な慰謝料で借金まみれになるんだ
君にそんな辛い思いはさせたくないんだ!」
出来ることなら丸く収めたい。
でも二人にとって恋愛と思ってみても
世間からみれば立派な不倫なのだ。
どっちに転んでも誰かが傷つくことになる。
傷つくべきは自分なのだと洋介は自分を責めた。
あのパーティーで美代子に一目惚れしたが
リングに気づいていたのだから
声など掛けるべきではなかったのだ。
「あなたのせいじゃない!
私たち夫婦は
あなたに出会う前から破綻していたも同然なの
私こそ世間体を気にして離婚というものに蓋をしていたんだわ」
もう、元の鞘には戻らないというわけか…
美代子一人を有人に返して生き地獄の生活をさせるのならば男として一人の愛する女性を何とかしたいと思った。