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虐げられた新妻~秘密の書斎~
第2章 婚約

部屋の扉を開けると、
そこは異様な空気に包まれた別世界だった。

赤く塗られた壁の一角には
黒いエックスの文字形の磔台が設置してある。

ドレッサーの前には
どのホテルにも置いてあるアメニティは無く
その代わりに手錠やらアイマスクなどが置いてある。

『悪趣味だわ…』
美代子はそう思いながらも、
少しドキドキしている自分を恥じた。

「さあ、いつまでも突っ立っていないで
服を脱ごうぜ」

一刻も早くセックスがしたいとばかりに
有人は鼻歌交じりで脱衣を始めた。

スーツが無造作に脱ぎ捨てられる…

「だめよ。シワになっちゃうわ」
美代子はジャケットを拾い上げて
ハンガーにかけてあげた。

ちょっとしたことだが
新婚生活が垣間見えた気がした。

『きっと有人は仕事から帰宅したら
こんな風に大雑把に脱ぐんだろうな…
それを小言を言いながら私は服をたたむ…』

そんなことを考えると
自然と笑みが漏れた。

「何を思い出し笑いしてるんだよ
ほんとに美代子はスケベだよなあ」

微笑んだ美代子を見て、
情事を思い出して笑みを浮かべたのだと勘違いした有人は「スケベな女だ」と何度も呟きながら
美代子をベッドに押し倒して羽交い締めにした。

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