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虐げられた新妻~秘密の書斎~
第7章 彼氏と自宅で
「ありがとうございました」
ファンデーションの小箱が入った手さげ袋を
先輩に手渡してから
初めて美代子は洋介と目を合わせた。
「さあ、先を急ぐぞ」
手さげ袋を大事そうに持つと
先輩は洋介に次の営業先に向かうことを急かした。
「わかりました」
先輩のあとに続いて立ち去る洋介は
立ち去り際に
美代子のカウンターの前に名刺を置いた。
「裏に連絡先を書いてあります」
小声で早口に話すと美代子と
アイコンタクトをしてから小走りで先輩の後を追いかけていった。
『連絡先…ゲットしちゃった…』
同じ売場の同僚に気づかれないように
素早く名刺を手にしてポケットに隠した。
一刻も早く洋介と連絡を取りたい美代子は
「休憩入ります」と同僚に告げて
小走りでトイレに駆け込んだ。
トイレに誰もいないことを確かめると
個室に飛び込むや否やスマホを取り出して
名刺裏の番号に電話をかけた。
移動中だからだろうか
なかなか洋介は電話に出てくれなかったが
根気よく待ち続けると
「はい」と耳に心地よい声が飛び込んできた。
「美代子です」名乗るだけでドキドキしてきた。
おそらく自分の番号も洋介に伝わったはずだ。
これでいつでも連絡を取り合える…
そう思うと胸がときめいた。