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濡れて堕ちて……
第6章 贖罪
照れ臭くて恥ずかしい気持ちの片隅で違う感情が蠢いてる。

時計を見ると時刻は09:00少し前。



もうすぐ徹が来る時間。



別れを決意したせいか徹の顔を見るのが辛い。

何度も何度もパン売り場の方を見てしまう。

誰かが店内に入って来るたびにドキッとする。

徹に会うのが怖い。



カチ、カチ、カチ

09:30…、09:45…、10:00…

カチ、カチ、カチ




時計の針が進む、が徹が来る気配はない。

いつもなら、どんなに遅くても09:30までには来るのに。

そーいえばメールで“朝から忙しい”って言ってたし、今日はもう来ないのかも。

あんなに徹に甘えてた癖に、ホッとしてる自分に腹が立つ。


でも、もしかしたらお昼に来るかも知れない
という不安が納まってくれない。

今朝のメールの返事を見るのも恐い。


あのひだまりのような優しい人を傷つけるのが恐い。

けど、そんなの自業自得だ。

私に嘆く権利なんかない。





「お疲れ様ー、鈴村さん、休憩行ってくれていいよ」

お昼になり、店長のかけ声で休憩時間に入る。

とりあえず、午前中は徹に会わなくて済んだけど、午後はわからない。

更衣室のロッカー、鞄の中からお弁当を取り出そうとした時

鞄の奥深くに入れて置いた携帯のお知らせランプがチカチカ光ってた。
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