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濡れて堕ちて……
第6章 贖罪
「ちょっ、何でこんなにじゃがいもがゴロゴロ入ってんだよ~」
「はいはい、文句言わずに食べる食べる」
案の定、じゃがいもに文句を言われた。
煮込んでようが炒めてようが野菜は野菜、しっかり食べてもらわなきゃバランスが偏っちゃう。
以前なら文句を言われただけでうんざりしてた。
私のお皿に嫌いな具を弾いてた。
けど、それは前までの話で、今は
「好き嫌いばっかしないの!浩一が食べたいって言うから頑張ったのにぃ!」
「食います食います!食えばいいんだろ!」
苦笑しながら渋々、じゃがいもを口に運ぶ。
浩一は基本食わず嫌い。
味の判断は食べてからしてもらいたいもんだ。
「んっ…、結構美味い」
ほらね。
口に入れたら食べれるものだってあるんだから、何でもかんでも捨てるのはやめて欲しい。
農家の人に申し訳ないし、私だってそれなりに傷つく。
「美味しいでしょ?そのじゃがいもが食べれるならポテトサラダだって、肉じゃがだって食べれ─────」
「じゃがいもじゃなくて、このカレーが美味い」
飲んでたお茶が器官に入りそうになった。
浩一の口から
今…「美味しい」って。
でも、昨日のきんぴらごぼうや浅漬けならまだしもカレーが美味しい?
野菜の皮を剥き、切って煮込んで、鶏肉を炒めて、カレールーだって何処にでもある市販ものを使った誰にでも出来る簡単な料理なのに。
「カ、カレーぐらい誰だって作れるじゃない!」
ううん、本当はめちゃくちゃ嬉しい。
強がってるけど、明らかに私の声は上擦ってる。