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濡れて堕ちて……
第6章 贖罪
それを受け取ったのは

ちょうど浩一と自宅でお昼ご飯を食べてた時だった。

「どうした、陽子。んな怖い顔して携帯睨んで」

私の目の前でソーメンを啜る浩一。

「ううん、何でもない」


徹からの5日ぶりの連絡。

忙しいから話しは来週にと言われたあの日以来の連絡だ。

忙しいって言ってたけど、もう落ち着いたのかな?

結局、今週は1度も徹はスーパーに現れなかった。






明日

明日には決着を付けなくちゃいけない。

私は浩一と生きて行くと決めた。



「せっかくの日曜日なのに、土砂降りだなぁ」

「本当にねー」


窓の外を見ると、警報でも出そうなぐらいの土砂降り。

晴れてたら浩一とお散歩デートをする予定だったのに。

「まだ梅雨空けじゃねぇみたいだな。ま、来週があるじゃん!」

「そうだけどさ…」

公園でお散歩デートを提案したのは私の方。

太陽を浴びながら

ちょっとした風景を見ながら季節を感じて何気ない会話をしながらの散歩。

今まで何度か提案した事もあったのだが、浩一に

「疲れるから嫌だ」と却下され続けてたのだ。

でも、今回ダメ元で誘ったところ、何とOKが出たのだ。

私にとっては、旅行より結婚式より楽しみにしてた日だったのに。


「でも、浩一からすればラッキーだったんじゃない?歩くの嫌いでしょ?」

「確かに嫌いだけど、お前となら意味のないのんべんだらりとした散歩も楽しそうじゃん」

「ふふ、本当に?」

「お前の事だから公園の鳩見てハシャいでそうだな。子供と散歩してるみてぇだし」

「失礼ね~」



今の私達は

本当の夫婦になれてると思った。




明日、ちゃんと決着を付けて、そこからまたスタートを切るんだ。
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