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濡れて堕ちて……
第7章 淫獣
「くっ、くすくす、くくく…。
あーっはははははっ!!はははははっ!!
どこまでも可愛いですね、陽子さんは」


突然狂ったように、壊れた人形のように笑い出した。

その異様な光景が私の恐怖を増殖させる。

煙草をくわえながら、じりじりと私に近づいて来る。

恐くて、思わずベッドの上で後退り。

立って逃げようにも鎖で繋がれてるせいで動けないし、腰が抜けたように力が入らない。

後ろへ後ろへと、逃げたが追いつめられてしまった。

後ろは壁、横へ逃げようとすると徹の腕がそれを許さなかった。

私の顔の横の壁をドンッと叩き、私の逃げ場所はなくなってしまった。 





「普通に考えればわかる事ですよ。俺達の始まりを思い出してみて下さい」





徹との始まり?

すぐそばにある徹の視線を反らすように俯き目を閉じて徹との始まりを必死になって思い出した。


えっと、確か…

毎朝同じ時間、同じ商品を買ってく少し変わったお客様だと思ってた。

けど、私が道端で倒れた時に偶然そこを通りかかったのが徹で、救急車を呼んでもらって付き添ってもらって

お礼にと私の手料理を振る舞うことになって────────




「陽子さんが倒れた時、確かに救急車を呼んで病院まで付き添ったのは事実ですけど、ちょっと出来すぎた展開だと思いませんか?」





目を閉じてるからわからないけど、私の鼻先に徹の唇が微かに触れてる。




「どういう意味よ、それ…」




その言葉に恐怖が増す。

体がガタガタ震え出す。







「陽子さんがあのスーパーで働くようなってから5年ぐらいですよね?あのスーパーで陽子さんを見つけた時、俺一瞬で気に入っちゃったんです」



5年…

5年も前から私の事を見てたって事?



「このサラサラの長い髪、色白の肌、服の上からでもわかる胸、締めすぎず緩すぎないウエストとか、いつもめちゃくちゃにしてやりたいって思ってましたよ」
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