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濡れて堕ちて……
第7章 淫獣
今の内に、とガタガタ震える足でベッドを下り扉の方へと走り出したが






ジャラッ!

「きゃあっ!」

足と首に巻き付いてる頑丈な鎖は私の逃走を許してくれず、その場で転んでしまった。

それでも何とか逃げようと力任せに鎖をグイグイ引っ張るが

冷たい金属音が響くだけで、外れる気配すらしない。


「いや…いやぁぁ…、お願い、外れてよぉぉぉっ!!」

恐くて恐くて、瞳からは涙がぼとぼと溢れる。



「言ったでしょ?陽子さんの為の特注品だって。そんな簡単には外れませんよ?俺が持ってる鍵を使わない限り」



「…っ!!誰か…、誰か助けてっ!!助けてーっ!!」



ドアに向かって必死に叫び続けた。

ここがどこかもわかってないのに、ドアの向こうに誰かがいるのじゃないかと願った。



「叫んでも無駄ですよ?一応人の声も何も届かない場所を選びましたから」

「だれ、か…。誰かーーっ!!」



人の声も何も届かない…?

徹の一言で絶望的な気分になった。


それでも、奇跡を信じて叫んではみたが

私の叫び声は、虚しくこの部屋に反響するだけ。


「いや…誰か…」

「諦めたらどうですか?声か枯れるだけですよ?」

「誰か…、こ、いちぃ!浩一ーーっ!!」







無意識のうちに浩一の名前を呼んだ。

ここがどこかもわからないし、今が何時なのかもわからない。

浩一が来れるわけもないのに

まるで祈るように浩一の名前を叫んだ。
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