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濡れて堕ちて……
第7章 淫獣
もしかしたら、私はここで殺されてしまうのかも知れない。

徹を傷つけた、その復讐で徹に殺されてしまうのでは…?

そう思った瞬間、首に鈍い痛みが走る。



ジャラッ!

「きゃあぁぁぁっ!」

後ろから徹に、首に巻き付いてる鎖を思い切り引っ張られたのだ。

素直に重量に従う私の体、後方にドスンッと倒れてしまった。


倒れても尚、徹は鎖をグイグイ引っ張る。

気道が圧迫されて息が出来ない。



「やっ、とお…ゲホッ」

「来もしない旦那の名前を呼ぶなんて、随分いじらしいんですね!!」


今まで聞いたことのない、徹の荒い声。


苦しい…。

やっぱり私、このままここで…。



 

「陽子さん。俺と旦那さんのセックス、どっちが好きですか?」


私が恐怖に脅え死を覚悟した矢先、徹からの脈絡のない質問。

いつもの優しい声に戻ってる。


と、同時に急に徹は鎖を離した。

「んっ、ゲホッ、ゲホッ」

鎖が床に落ちる音、気道が確保出来て一気に酸素を取り込もうとするも

咽せて声が出せない。



「散々俺に抱かれた癖に、今更浩一さんですか?」




今更…?

違う、今更なんかじゃない。




私と浩一は神様の前で永遠を誓った。

今更なんかじゃない。



今からでもやり直せると思った。




「はぁ、はっ、…私が───────────」



 

浩一、裏切ってごめんね。

こんな事なら

あなたにもっと優しくしてあげればよかった。




「私が愛してるのは、浩一だけ!!これから一生、浩一だけよ!!」




徹の目をしっかり睨み付けて言い放った。

例えここで殺されても

自分の気持ちに嘘をつくぐらいなら

愛してる人を「愛してる」と叫んで死んだ方がマシだ。





さっきまで

徹を傷つけた罪悪感でいっぱいだったけど




今は

こんな奴に同情すら出来ない。
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