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濡れて堕ちて……
第7章 淫獣
「ふーん。そうですか…」

殺されるのを覚悟して口をついたその言葉に徹はつまらなく呟いた。


しかし、覚悟をしても体は正直にガタガタ震えてる。

本当は今すぐにでも浩一の元に帰りたい。

ここまで言い切れば徹も諦めて解放してくれるのじゃないかと、淡い期待をした、が



「やっぱり陽子さんの為にこの部屋を作ってよかったですよ」

「は?」




ニコッと笑った徹。

呆気に取られていると、徹が私の方へ近づいて来る。

大股になり足早に

「い、いやっ!来ないで!!私に触らないで!!」

逃げようとしたが足には鎖、後ろはドア。


伸びた徹の手を振り払おうと必死で両手をバタつかせたが、その手は徹に捕まれ制止させられてしまった。

「やめ、やめて…、私をどうする気!?」


徹が恐くて…、目を閉じて徹から顔を反らした。

こんな密室で、動きを制限するように鎖に繋がれて、服も脱がされて

今の状況でも充分な辱めを受けてるって言うのに…。


ガタガタ震える私の前髪を掴み─────

「やっ、痛い!」

自分の方へ向かせ、耳元で、あの低い声で





「この状況なら、やる事なんて1つでしょ?」







ゾクッ。



私はバカだけど、この状況下でやる事なんて言ったら大体察しがつく。

自分の今の出で立ちからして、何処にも逃げられない事は明白だ。


けど────────…



「ん、んぐっ!!」

私は後頭部を後ろのドアに打ち付けてしまった。

迫り来る徹の唇から逃げようとした、が

無理だったようだ。



「ん…やぁ…」

前とは違う。

私の口内に強引に入って来て舌も唾液も絡め取られてしまうような接吻。

息すら出来ず、離れる事も出来ない。


「ん、次は噛まないで下さいね…」


唇がこすれる度にほんのりと鉄の味がする。

さっき私が噛んだ場所。
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