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濡れて堕ちて……
第7章 淫獣
「あーぁ、本当はもっと絡め取るようにして浩一さんから奪いたかったのに」


徹の指が私の顔のラインをなぞる。



助けて、誰か…



「“優しくて紳士的な徹君”を演じて、ここぞって時に奪いたかったのに。全部陽子さんが悪いんですよ?」




徹の目には完全に光が見えなくなっていた。

その目はまさしく悪魔だ。



“演じてた”…最初から私に近づく為に、優しい紳士を装ってたんだ。

少なからず、心の中で
“以前の徹に戻って”、“目を覚まして”って思ってたけど


私が別れを切り出したから悪魔になったんじゃなくて、これが本当の徹なんだ。

これが徹の本性。



あの優しかった徹は、全部嘘。

 
こんな事をしでかすか時点で普通じゃないってわかってたけど、改めて思い出すと

私の中で何かが音を立てて崩れた。






「女って生き物は勝手ですよね?散々甘い蜜を吸っときながら、いざ現実を目の当たりにすると途端に逃げ出す───────」










その言葉に胸がチクリッと痛んだ。

悪魔のように、真っ黒な闇のような目をした徹。

その目は悲しそうというより、冷めたような諦めたような

そんな目だった。





「でもね、甘い蜜だと思って欲張って吸い続けない方がよかったかも知れませんね。
中には猛毒もあったりするんですよ?それこそ命に関わるような」






私の体の上から下りると

下半身の方へ移動して行く。




「んぅっ!!んぅぅっ!うぅっ!!」

マウスピースのせいで喋れない。


触らないで!!

浩一以外の人になんて触られたくない!!




足で抵抗しようにも、男性の力に勝てるわけがない。



徹の頭が足の隙間に割って入って来た。




しかし

いつもと違い、徹はそのまま制止。
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