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濡れて堕ちて……
第8章 甘美
こんな最低なやつに

こんな事で…


悔しくて、情けなくて

私の瞳からはポロポロと悔し涙が溢れた。

こんな奴に…、涙すら見せたくないのに…。


「う、うぅ…」


もう死んでしまいたかった。




「約束は約束ですよ?お仕置きです」

昔のように私の涙に同情してくれることなんてもうないんだ。

あの紳士的な徹は、全て作られたキャラクターだったのだから。



徹の言う─お仕置き─。

これ以上の屈辱を味わう事になるのだろうか?

これ以上、私に何を虐げようというのか?

この閉ざされた空間で

この地獄のような檻の中で

これ以上…。





徹は、長さ10mはあろうかロープを取り出した。

取り出したというよりこの部屋の壁の至る所にフックがかかっていて

まるでベルトやネクタイを引っ掛けるように怪しげな道具がいくつも準備されていた。

見るからに拷問に使うような電動式の玩具や鞭など、見てるだけで身震いするような器具。


このロープもそのうちの1つだ。


私の体にまるで蛇のようにぐるぐると巻かれて行くロープ。

私の体を縛り、ロープが皮膚に食い込むたびにギシギシと鈍い音をたてる。


あっと言う間に私の上半身はロープによって、まるでデコレーションされたようになってしまった。

胸を強調するかのように食い込むロープ。

亀甲縛りというものだ。


まだ続くロープを足に何重にも巻き付けて行く。

徹は器用にそのロープを天井からぶら下がっているフックに渡し、また足に巻き付け、フックに渡しを繰り返す。


私は、半ば諦めたかのようにその様子をぼんやり見ていた。

ちょっとした作業をしてるみたいに慣れた手つき。

もしかして、今まで何人もの女性をこうやっていたぶって来たのだろうか?


ボーッとしていると、徹が思い切りロープを引いた瞬間

「うっ、あぁぁっ!痛…」

私の片方の足が宙に浮いたのだ。


もう片方の足は地面に着くか着かないか、爪先立ち状態になった。
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