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濡れて堕ちて……
第9章 悪夢
やめて…っ、私のそんな姿残さないで!

「俺に逆らったら浩一さんの会社にこのデータ送りつけちゃいますよ?」

「……………っ」


ハッタリかも知れない。

徹と浩一の間に共通点なんかないはず。





でも──────…

私はパソコンの事なんて全然わからないからそんな事が可能なのかどうかさえわからない。

でも、徹と浩一は会社違えど扱ってるジャンルは一緒だ。

もし私が逆らって本当にこのデータを送りつけられたら?

不倫どころかこんな姿を浩一に見られたら?


「卑怯、者…」

「好きに言って下さい。早くこの下着履かないと誰か来ちゃいますよ?」






店内は思ってたより明るくて、でもほんのり蒸し暑い。

よろける足で一歩ずつ店内へ進む。

よろけてるの恐いってだけじゃない、玩具のせいだ。

油断すると今にも腰から崩れそうになる。

だけど、今ここで転んでスカートが捲れたら…。

こんな玩具を仕込んでこんなお店に入ってるなんて生き恥を晒す羽目になる。

「……っはぁ、はぁ」


まず目に入ったのはコンビニでも扱ってるような成人雑誌の棚。

しかし、奥へ奥へ進むに連れて

私にとってはまるで別世界のような光景が広がる。

エッチなDVDに、どうやって使うのかさえわからないグッズ。

空気で膨らますような人形に、男性器を象った玩具。

目を覆いたくなるようなものばかり。


店内にお客さんが数人、DVDを選んでる。

もちろん、全員男性だ。


早く、早く…、何でもいいから適当に選んでここから出よう。


ボーッとする頭、フラフラになった足でグッズ売場に向かった。
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