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濡れて堕ちて……
第10章 代償
考えたらおかしい話だ。

どうして浩一が徹の部屋にいるのかが。


これも徹の罠?



それに、今ここで大声を出してこの部屋に踏み込まれでもしたら…




今の私のこんな姿を見られでもしたら…






何故こんな状況になってるのかを把握しようと、私は必死に徹と浩一の話に耳を傾けた。


何か、言い争ってるみたいだけど…







「何度も言ってますが、うちの妻が不倫をしてる証拠でもあるんですか?」








扉の向こうから聞こえた浩一のその台詞

体中の力が全て抜けてしまいそうになった。



私の、不倫…?

体が震える。






「こちらは確固たる証拠をいくつか掴んでます。それに、奥様は今も帰られてないそうですね?」

「妻の身内に不幸事があったそうなので実家に帰ると妻から連絡がありました。他人の家のプライバシーにまで首を突っ込むなんて、カルビナスさんは余程暇なんですね」








まさか、徹

私と徹の関係を浩一にバラしたの?


わざわざ不倫の証拠を見せる為に浩一をここに呼んだの!?


じゃぁ、あの動画も見せる気なんじゃ…っ!?






「別にあなたを脅迫するつもりはありません。ただ、自分の奥さんがどんな女か…、改めて知る必要があるのでは?と助言してるだけですよ」

「これ以上うちの妻を侮辱するなら、こちらもそれ相応の手段を取らせてもらいますが?」





やめて…

やめて、徹…っ




これ以上、浩一を傷つけないで…。





「本当におめでたい人ですね。どうして僕のような中小企業の人間があなたを自宅に招いたか…少し考えればわかることですよ」







ドクンッ



…徹、まさか?










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